また溜まってきたので、まとめて紹介するよ。
ミニスカ宇宙海賊
笹本 祐一
朝日新聞出版
売り上げランキング: 22,459
アニメ化した際、原作も面白いよ!という意見は聞いていたもものすっかり忘れていた作品。
アニメも途中で見なくなっちゃったし、改変されたアニメのタイトルも忘れた。あ、今調べて思い出した。モーレツ宇宙海賊だった。
作者は非常に年季の入ったライトノベル作家。作品に妖精作戦って、いつの時代の作品だ。読んでないけど。
作品としては、非常に丁寧に書かれた小規模なスペース・オペラという感じ。
技術や戦術が細かく書かれているところもあれば、おいおい都合良すぎるだろというところもあり、平均するとフラットになる。
ちょっと惜しいのが登場人物の感情の動きが弱く、ドラマ性があんまり感じられないこと。
味方も敵も地団駄を踏んで悔しがったりするようなことがない。カタルシスが少ない。
これ絶体絶命の窮地じゃないのってシーンでもニヒルに感じるほど落ち着いてる。
まだ既刊の最後まで読み終わっていないけれど、アニメの評判が高いのはアニメスタッフのおかげなのかも。
3点。
獣の奏者
上橋 菜穂子
講談社
売り上げランキング: 28,588
これはライトノベルじゃない気がするが、まあいいや。
これもアニメ化した作品。NHK教育で。
確かほとんど漏らさず見ていた覚えがある。
同著者の作品、精霊の守り人のアニメが圧倒的な良作で、なおかつ原作の守り人シリーズも面白かったので、それにつられて読んだ。
上橋 菜穂子
新潮社
売り上げランキング: 7,684
ジェネオン・ユニバーサル (2010-08-25)
売り上げランキング: 21,166
ちなみに精霊の守り人のDVD-BOXはどういうわけか非常に安い。買って損はない作品なので興味があったら買うことをオススメする。
話を戻して獣の奏者の感想。
アニメを見た身からすると、非常に駆け足な展開に感じた。
主人公エリンの人情味のある感情の動きが弱く、一方、誠実さと獣に対する熱意、それをめぐる苦悩が強い。そのためあまり感情を移入できない。
読んでいて気づいたのだけれど、この作品の裏に流れているテーマは守り人シリーズとほとんど同じだった。
神話の時代の終わりとその転換で活躍、翻弄される人たちについてというもの。
作者が民俗学をやっているせいなのかな?たぶん特有な民俗学を学ぶ中で、独自の文化が科学と現代文化に乱され変わっていくという流れを何度も知ったんだろう。
まだ読んでいる途中だけれど、テレビ化されていない3巻からは、暴力と政治、国家間の話が出てきてより守り人シリーズに近づいていく。
そういえば守り人シリーズも1巻とそれ以降じゃ話の流れが大きく違ったかな。
自分としては、緊迫感のあるスケールの大きな話のほうが好きなので、好都合だけれど。
3点。
精霊使いの剣舞
志瑞 祐
メディアファクトリー
売り上げランキング: 38,695
出だしが「おいおいテンプレ過ぎるだろ」と思わせるものだったけれど、それを乗り越えると読み進められる。
あらすじとしては……あまり語るところがない。
ファンタジーとバトルとエロと萌えがどれも60点に揃えられており、ある意味安定して読める。
どの要素も高得点を弾き出さない一方、落第することもないので心が癒される。
今ストーリーを脳内で確認してみると、風呂敷が広げられすぎたり、何らかのインフレが起こっていないことに気づいた。これは好印象。
ファンタジーとバトルが入ると、慣れていない作者はどうしてもジャンプ掲載の漫画のようにパワーなり世界観なりのインフレが起こって収集がつかなくなる。その挙句伏線が放置されるようになったり。
そういったことがない。非常に地道。しっかりと話の枠組みを作って書いているのかな?
その分ダイナミックさに欠けるけれど、枠が壊れて収集がつかなくなった挙句尻すぼみになるよりマシ。
最新刊で大きな進展があったらしいので、また読まないと。
3点。
変態王子と笑わない猫。
さがら 総
メディアファクトリー
売り上げランキング: 22,082
あー、カントクの絵は非常に可愛い。文句のつけようがない。
これほどのイラストレーターがイラスト担当になるなら、確実に作品が面白いはず。
最近のライトノベル出版社は作品のヒットに対する期待度でイラストレーターをあてがうので、表紙買いでハズレを引くことは少なくなってきた。
かわいいイラスト=面白いライトノベル、だ。
読み始めて戸惑った。この作者、文体がかなりトリッキーだ。
特に1巻はその傾向が強く、トリッキーさを抑えきれていない。
少し竹宮ゆゆこに近いかなと思ったけれどあの作者は青春のドタバタを書く一方でこっちは変態を書いている。
文体と書く内容が案外マッチしていて、慣れるとスラスラ読み進めることが出来るようになった。
あらすじとしては、願いを叶える質の悪い猫の神様?みたいなのがいて、それに翻弄される変態の主人公とヒロインズという感じ。
この主人公の動きが珍妙で、毎巻ごとに身近なヒロインを落とす。それを繰り返してる。いい加減首がしまるというのに。
そろそろ閉める余地がなくなってきて修羅場が近いので、このまま終わるのか、それともまだまだドタバタが続くのか、予想できない。
4点。
乃木坂春香の秘密
五十嵐 雄策
メディアワークス
売り上げランキング: 300,622
有名作品。
2回もアニメ化したし。もしかしてそれ以上してるのかな?
甘い萌えとほんのりのエロがずーっと続くだろうなと予想してはいたけれど、予想が一切はずれなかった。
胸焼けするくらいずーっと続く。
そのため途中で読むのをやめてしまった。起伏が少ないし、あっても予定調和なので。
こういう作品がライトノベル界にて何作か常に連載されていることは大切なので、作品を否定する気はない。むしろ存在してくれてありがとうと言いたい。
精神の糖分がなくなったらまた読もうと思う。
2点。
まよチキ!
あさの ハジメ
メディアファクトリー
売り上げランキング: 94,916
うーん、あんまり覚えてないぞ。
読んだのが結構前なのと、そんなに面白くなかったのとで。
最終巻まで読みきったはいいのだけれど、終わり方が非常に平凡だった。
12巻まで続けずに5巻ぐらいまでに話を圧縮したらさぞかし面白いものになったんだろうな、と思ったり。
2点。
ストライクウィッチーズ劇場版 還りたい空
南房 秀久
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-03-31)
売り上げランキング: 40,659
お、劇場版の小説が出ているのか、ぐらいしか考えずに読んだ。
以前別のストライクウィッチーズの小説を読んだときは、「なんだこの出来の悪いSSみたいな話の連続は」とか思って覚えがある。
一方今回はそんなこともなくてよかった。
劇場版の話に非常に忠実。安心して読めた。
3点。
フルメタル・パニック・アナザー
大黒 尚人
富士見書房 (2011-08-20)
売り上げランキング: 11,702
市の図書館はどういうわけかフルメタの入庫スピードが非常に早い。
おかげで購入せずにすぐ新刊を読むことができる。ありがたい事この上ない。
それにしても、毎巻読むたびに感心させられる。
アニメ化3回、大団円で終わった大人気のシリーズ。
そのスピンオフをよくもここまで綺麗に、なおかつフルメタの色を消さずに書けるなぁ、と。
原作者がバックにいるとはいえ、ファンを満足させるスピンオフってそうそうない。
それとも賀東招二の脚本力なんだろうか。
このままフルメタを楽しませ続けてくれたら何も文句のつけようがない。
4点。
今回の紹介はこれぐらいで。